阪神JF(阪神ジュベナイルフィリーズ)2014年予想|ロカに注目

【POG日本一!吉田竜作のマル秘週報・特別版】2歳女王を決する第66回阪神ジュベナイルフィリーズ(14日=阪神芝外1600メートル)は、今秋のG?シリーズの中でも屈指の難易度との声が上がっている。ならば「POG日本一」を冠する男に登場願おう。若駒の情報収集能力では他の追随を許さず、業界一の“マツパク番”としても知られる吉田竜作記者にとって、阪神JFは最も得意なレース。えっ、今年は頼みの松田博厩舎のエントリーがない? いやいや、「牝馬のマツパク」を継ぎし男が送り込む、あの素質馬に注目だ。

 改めて昨年の阪神JFを振り返ると、なんと豪華な一戦だったか…。函館、札幌、新潟、小倉と夏の2歳Sの覇者がすべて牝馬というのも相当珍しいのだが、その4頭の覇者すべてが参戦。そのうちの2頭、レッドリヴェール(札幌2歳S)、ハープスター(新潟2歳S)はここで1、2着しただけでなく、翌春のクラシックでも話題の中心であり続けた。

 では今年は? 昨年のしわ寄せというわけではないのだろうが、昨年と比較してしまうと、小粒感は否めない。重賞勝ち馬はオーミアリス(小倉2歳S)、ココロノアイ(アルテミスS)、クールホタルビ(ファンタジーS)と3頭いるにはいるが、順に15、9、14番人気での勝利だったことが混戦ムードに拍車をかけているのだろう。

 もうひとつ。毎年のように、この阪神JFにキーホースを送り出してきた「松田博ブランド」不在の影響も大きい。ブエナビスタ(08年)、レーヴディソール(10年)、ジョワドヴィーヴル(11年)の勝ち馬3頭ほか、前出ハープスターなど、実に近7年で6頭を馬券圏内に送り込んできた、まさに“阪神JF御用達厩舎”だったのだが…。

 もちろん、現2歳世代にもフローレスダンサーという素質馬はいる。だが、前走に距離2000メートルの京都2歳S(結果は4着)を選択したことで分かるように、トレーナーは早々に「目標は(距離2400メートルの)オークス」と打ち出している。現時点では桜花賞を目指す馬がいないことも影響したか。

 いずれにせよ、この名伯楽も再来年の2月いっぱいで定年引退。阪神JFにエントリーできるのは来年が最後だ。今年の混戦模様は過渡期にある厩舎勢力図の「今」を表していると言えようか。

「ポスト松田博厩舎」をこのレースから見つけるのは安直過ぎる発想かもしれないが、松田博調教師自身、「ベガ(93年桜花賞、オークスを制覇)との出会いで人生が変わった」と言うように、1頭の牝馬との出会いがその後の調教師人生を大きく左右することは多々ある。そして今、そのチャンスの真っただ中にいるのがロカを送り込む今野貞一(こんの・ていいち)調教師だ。

 当コラムで何度か取り上げた通り、普段はひょうひょうとしたキャラクターの持ち主でありながら、37歳にして、その判断は冷静かつ的確。ロカのデビュー戦(11月2日=京都芝外1800メートル)3馬身差圧勝後は「阪神JFまでの日にちもそうないことだし、厩舎に置いて調整します」とキッパリと言ってのけた。

 当たり前の発言に思われるだろうが、トレーナーのなかでも若手は特に“牧場サイド”の押しに弱い。ノーザンファーム生産のこの期待馬には当然、栗東近くの前線基地ノーザンファームしがらきに「放牧に出しては」という提案があったことは想像に難くない。しかし自らの意思を通してみせた。いろいろとしがらみの多い世界。自分の意見を押し通すことは難しい。しかし「ロカにとって何がいい判断か」を考え、貫いた今野調教師の姿勢には気骨を感じずにはいられない。そういえば、松田博調教師が「放牧に出してもらえませんか」という注文をやんわりと断っていたシーンを幾度となく目撃したっけ…。

 もちろん、ロカに立ちはだかる壁は高い。キャリアはわずか1戦。オープン、阪神競馬場、距離1600メートル…まさに初モノ尽くしだ。そもそも1勝馬(賞金400万円)は抽選対象で10頭で6つの枠を争うことになる。

「ウチのオメガタックスマンが500万条件を2回走って、どちらも2着。勝っていてもおかしくないレースでしたし、どちらの勝ち馬も牝馬。ロカの援護射撃にもならなかった」(今野調教師)とジョーク交じりに口にしていたが、これは果たして“試練”なのだろうか?

 ロカの今野調教師と同じ立場にあった年、松田博調教師はブエナビスタ(抽選確率は17分の6)の時もジョワドヴィーヴル(同15分の6)の時もこう言っていたものだ。「勝つ時っていうのは黙っていても(抽選を)通るものさ」

 選ばれし馬にとっては抽選は試練ではない? 当然のように突破して、阪神JFで勝利をもぎ取る。これこそがスターホースになるべき馬の運命でもある。果たしてロカは? 出走18頭が決まる11日午後2時、今野調教師に朗報が届くことを願い…いや、信じている。

 
ロカ
父-ハービンジャー
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