天皇賞秋予想|2017年|馬体診断(スポニチ)まとめ

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ヤフーニュースより

【天皇賞・秋】ソウルスターリング100点!名画思わす造形美

3歳牝馬初の盾獲りなるか。鈴木康弘元調教師がG1有力馬の馬体を診断する「達眼」。第156回天皇賞・秋(29日、東京)ではソウルスターリング、ネオリアリズムに満点を付けた。中でも達眼が捉えたのは今春のオークス馬ソウルスターリングの“完美”な姿。秋初戦・毎日王冠(8着)を振り返りながら巻き返しの可能性を探った。達眼の秋G1は、初戦スプリンターズSでは上位指名2頭がワンツー、続く秋華賞と菊花賞では最高得点馬が勝利とさえ渡っている。

 画家は作品を完成させると、その片隅に自らのサインを入れるものです。でも、「ゲルニカ」などの名画で知られる巨匠ピカソにはサインを記さない時期があったそうです。作者のネームバリューで鑑賞するのではなく、作品そのものを見てもらいたかったからだと言われています。

 ソウルスターリング。その姿は今春と変わらず、息をのむほど美しい。名画を思わせる造形美。全ての部位がしなやかに無駄なくリンクし、完璧なバランスを整えている。柔らかい筋肉をつけた深いトモ(後肢)、そのパワーを受ける飛節は頑強で絶妙な角度。流麗に抜けた首差し、滑らかに傾斜した肩、盛り上がったキ甲(首と背の間の膨らみ)。前肢蹄の大きさと角度が左右で異なる点も含めて全て春と同じ。オークス時に「完美」と絶賛した姿そのままです。絵画になぞらえれば、作者のサインが入った完成された造形。春の時点で寸分の過不足もない仕上げが施されたため、数カ月経たところで描き加えようがないのです。

 毎日王冠は「完美」な馬体でなぜ崩れたのか。気持ちの問題だと思いますが、立ち姿からその精神状態をうかがうことはできません。馬のメンタルは耳や尾の立て方、四肢の立ち方などに表れるものです。ところが、ソウルスターリングはいつも同じ立ち姿を見せる。スタッフを信頼して、きちんと立つようにしつけが行き届いているからです。スタッフに向けてしっかり立てた耳、適度な緊張感をもったハミのくわえ方、自然に垂らした尾。過去のG1・3戦と全て同じしぐさです。だから、立ち姿では気持ちの変化が読み取れない。

 毎日王冠の映像を見れば、春とは違った精神状態だったことが分かります。ゲート前の輪乗りでいつになくイレ込んだ。ハミ取りのいい気性なのに、フワフワと先頭を行く走り。夏の放牧中にリラックスし過ぎたのか。だとすれば、秋初戦を使われたことで変わる可能性はあります。あるいは夏の間、走りたい気持ちを十分に発散できず、ストレスになったのか。だとすれば、秋初戦がガス抜きになるかもしれません。

 G1のたびに寸分の過不足もなく仕上げられた馬体。完璧なしつけを体現した立ち姿。その写真にFUJISAWAのサインはなくても、造形を見れば手掛けた調教師の力量が分かります。巨匠ピカソの絵がサインなしでも傑作と評価されたように。あとは、「完美」なサラブレッドの気持ちを天皇賞当日までに立て直せるか。中2週のわずかな期間でも、馬づくりの巨匠と呼ばれる調教師なら…。


【天皇賞・秋】ネオリアリズム100点!バランス整った剛健さ

曇り空でもさえる毛ヅヤ。ネオリアリズムはよほど体調がいいのでしょう。ソウルスターリングが琉球漆器のような深い漆黒の光沢を放つなら、こちらは加賀伝統の山中漆器を思い起こす明るい栗色の輝き。立ち姿からもハツラツとした精神状態がうかがえます。四肢が大地を力強くつかみ、白眼でカメラマンをにらみつけている。たくましい顎っぱり。食欲も旺盛なのでしょう。ソウルが完美なら、ネオは剛健。それでいて、ハミのくわえ方はきつ過ぎず、緩過ぎず。これほど上手にハミを取れる馬はなかなかいません。心のバランスが取れているからでしょう。

 体つきはユニークです。太くて重厚な首、肩とトモに付いた豊富な筋肉量はマイラーを思わせますが、背と腹下が長い伸びやかな体形は中距離型。1600~2000メートルで結果を出してきたことが分かる馬体です。半年の休養明けですが、太め感はほとんどない。腹周りに少し余裕がある程度。今週の追い切りでひと絞りすれば万全に仕上がるでしょう。

 栗の季節に合わせるように心身の態勢を整えた剛健な立ち姿。古馬勢では唯一満点です。


【天皇賞・秋】キタサンブラック95点、満点大阪杯とほぼ同じ
キタサンブラックは心境の変化を立ち姿に示してくれます。宝塚記念時には前後に大きく開いていた両後肢の間隔を詰め、体重を前方に傾けながら立っている。前に歩きだそうとするのをスタッフがハミで押さえています。後ろにも体重を乗せていた宝塚記念とは対照的な姿勢。鼻の穴をしっかり開きながら、首も前へ突き出しています。満点を付けた大阪杯時とほぼ同じ立ち姿。闘争心を如実に伝えています。

 宝塚記念では全く気持ちが乗らない走り。嫌気をさしているように見えました。天皇賞・春でレコード勝ちした直後の一戦。馬体は十分な張りを保っていましたが、精神的につらかったのかもしれません。なえていた闘志が夏場の充電で戻った。そう読み取れる立ち姿です。

 キリンのような脚の長さもあまり感じさせない体つきになってきました。全身にボリュームが増したからです。休み明けでも腹周りに少し余裕がある程度で、仕上がりも良好。とはいえ、脚長体形は東京2000メートル向きではない。発走後間もなく最初のカーブが待ち受けるコース形態。長い脚を畳んで加速するのに時間がかかるため、この難所をどう乗り切るか。





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