◆第77回菊花賞・G1(芝3000メートル、23日・京都競馬場)
淀の3000メートルで行われる菊花賞(23日、京都)は『強い馬』が勝つとされ、底力とスタミナが問われるとともに、2度の上り下りのあるコースはジョッキーの腕の見せどころでもある。皐月賞馬ディーマジェスティで2冠を狙う蛯名正義騎手(47)は京都の芝3000メートル以上で現役2位の6勝を挙げる長距離巧者。15年ぶりの関東馬Vを目指す大一番へ向けて、今の思いを聞いた。(聞き手・石野 静香)
―ディーマジェスティは秋初戦のセントライト記念を快勝。2冠に向けて好スタートを切りました。
「順調にきていたので、普通の競馬さえすれば負けないだろうと思って乗っていた。まあ、競馬なので、いろいろあるし、前回もスタート後に2回寄られた。そういうことも想定していたけれど、力が違った」
―プレッシャーはありましたか。
「なかったとは言わないけれど、とにかく順調にきていたことが、自分のなかで非常に自信になった。今まで乗ってきたなかで、一番順調だと感じていたし、大きなアドバンテージだった。秋に向けて、夏をうまく過ごせたのではないか」
―順調な調整ぶりが自信につながったのですね。
「馬って一生懸命やってもうまくいかない時もある。無事にレースまで行くことは、簡単なようだけど、大変なんだ。秋華賞でも、シンハライトがあんなふうになった(屈腱炎で回避)。競馬に進むことがいかに大変か。みんな一生懸命やっているし、別に手抜きしてるわけじゃない。けいこをしなくちゃいけないけれど、やればリスクも出てくる。やり過ぎも、やらな過ぎも良くない。そういうことを含めて難しいんだ」
―13日の1週前追い切りは、美浦のWコースで5ハロン67秒2―12秒4で併走馬に先着。感触は?
「しまいに気合をつけたが、それ以上無理はしなかった。落ち着いて走れていたし、いい動きだった。前走の状態が良く、上積みがすごくあるわけではないけれど、今のところ順調にきている。それが一番」
―京都の芝3000メートル以上のレースで、現役では武豊(19勝)に次ぐ6勝をマーク。春の天皇賞3勝など、淀の長丁場で好成績を残しています。
「たまたまだよ。上り下りが2回あって、面白いコースだと思うけどね。関東に下るコースはないから。障害コースしかないんじゃないか。最後に坂のあるコースはあるけれど、下りってなかなかないから」
―下りがポイントですか?
「上り下りだと、下りのほうが難しいね。ブレーキをかけながら走らせなくちゃいけないから。人間だって、下りを走る時にどんどん加速したら、足がついていかなくなるだろう? ブレーキをかけ気味にって、言ったらおかしいけれど、そうじゃないとうまくスピードをコントロールできない。上りは馬も結構一生懸命上るし、人間もついていきやすいけれど、下りはそういう意味で馬は走りづらいし、消耗する。下りで勢いをつけ過ぎてもいけない。だから、なだらかに走らせることが大事」
―3歳馬にとってはタフなレース。気を付けることはありますか。
「3歳だと適性が分からない。古馬と比べて大事なのは、いかにリズムよく走らせられるかどうか。ディーマジェスティに関しては、折り合いがつきやすいところが一番のいいところだから、スムーズに流れに乗っていければ。それだけだよ」
◆蛯名 正義(えびな・まさよし)1969年3月19日、北海道生まれ。47歳。87年3月、美浦・矢野進厩舎からデビュー。その年に30勝を挙げ、民放競馬記者クラブ賞(関東新人騎手賞)を受賞。JRA通算2448勝、重賞125勝。うちG1は96年天皇賞・秋(バブルガムフェロー)で初制覇後、98年ジャパンC(エルコンドルパサー)、01年菊花賞、有馬記念、02年天皇賞・春(マンハッタンカフェ)、07年有馬記念(マツリダゴッホ)、10年牝馬3冠、11年ヴィクトリアマイル(アパパネ)など26勝。162センチ、50キロ。血液型A。
京都G1勝利-菊花賞
2001年-マンハッタンカフェ
京都G1勝利-天皇賞(春)
2002年-マンハッタンカフェ
2013年-フェノーメノ
2014年-フェノーメノ
蛯名正義騎手(京都G1)
4-3-5-16/28(14%ー42%)
菊花賞も期待する-競馬情報サイト
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