ジャパンカップJC2016年回顧|強かったキタサンブラック


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 まさに“サブローJC”だ!! 混戦ムードが漂っていた27日のGI第36回ジャパンカップ(東京芝2400メートル)だが、終わってみれば1番人気のキタサンブラック(牡4・清水久)が2着サウンズオブアースに2馬身半差をつける独走V。オーナーで演歌歌手の北島三郎はレース後の表彰台で「まつり」を熱唱した。競馬場にこだましたキタサン祭りの圧勝劇を生んだ背景とは――。

 鞍上の武豊が「これまで乗った中でも一番強いパフォーマンスを見せてくれた」と言ったのもうなずける。菊花賞はクビ差、今春の天皇賞はハナ差。これまではGIを勝っても接戦という粘走型が、国内最高峰のJCで2馬身半差の完勝劇。イメージを一掃する独走劇に、どんな背景が隠されていたのだろうか。

「本馬場に入ってからのテンションはギリギリ。極限の仕上げでした」(武豊)。今回を含めてGI・3勝のすべてが休み明け2走目。同馬の好走パターンを踏まえれば、ピークの仕上がりだったことは想像に難くない。だが、それだけで完勝は生まれない。呼び込んだのは久々に炸裂した“ユタカ・マジック”だ。
「今日の馬場状態を考えたら、61秒台で5ハロン標識を迎えられたらいいと思っていた」

 2番手につけたワンアンドオンリーが道中で2馬身近く離れたことで、レースは名手の思惑通りに流れた。5ハロン通過はドンピシャの61秒7。

 オーナーで演歌歌手の北島三郎が「いいペースで行ってくれていたので、このまま行っちゃうんじゃないかと思った」と勝利を予感したのもこの瞬間だった。

「直線に向いても手応えが良かったので、残り300メートルまでは最後の力を出させないよう自分に言い聞かせた」

 鞍上の言葉通り、ステッキを入れたのは2馬身のリードを保って迎えた残り1ハロン手前。スタートからゴールまで他馬に馬体さえ並ばせなかった。「しっかり脚がたまっていたので安心して見ていられた」と管理する清水久調教師が振り返った一戦は“キタサン祭り”の独壇場だった。

「57年間、競走馬に携わってきましたが、JCは初めてなんです。興奮というよりは胸が熱くなり自然と涙がこぼれました。夢と希望をたくさんいただき、兄弟みんなで泣きました」

 北島オーナーも感極まった完勝だが、むろん今年の“祭り”はこれが最後ではない。獲得した今年のGIタイトル数(2勝)で昨年の年度代表馬モーリスに並んだ今、目指すは栄えある年間チャンプの勲章を奪うことにある。

「一年を締めくくる有馬記念に出して勝つことが、どれだけ大きなことかは感じています」(同オーナー)

 すでにドバイ、凱旋門賞などの海外遠征も今後の視野に入れているキタサン陣営。今回の完勝劇を踏まえれば、有馬V→年度表彰を手土産に来年は海を渡る――そんな壮大なプランも決して難しいことではないはずだ。

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