競馬予想は競馬スピリッツ
アルゼンチン共和国杯ー東西討論
【アルゼンチン共和国杯(日曜=6日、東京芝2500メートル)&みやこS(日曜=6日、京都ダート1800メートル=1着馬にチャンピオンズカップ優先出走権)東西記者徹底討論】今週はGIこそ小休止となるが、東西で計4重賞が行われる豪華ウイーク。おなじみ予想合戦は2008年スクリーンヒーロー、15年ゴールドアクターなど、後に天下を取った馬を量産しているGIIアルゼンチン共和国杯をメーンターゲットに定めた。果たして「独創」荒井&「馼王」西谷の狙い馬とは!?
西谷哲生(大スポ):毎年、この時期には言わせていただいてますが、ハロウィーンなんて全っ然はやってないですから。
荒井敏彦(東スポ):オマエ、本当嫌いだよな、ハロウィーン。
西谷:大っ嫌いです。ああいうので騒いでる人たちって、バッタの大群と一緒でしょう。ブームに群がって、食い散らかして、隣の芝生が青く見えたらパッと去っていくんですよ。
荒井:本人たちが楽しんでるなら、別にいいじゃん。
西谷:それはそうなんですが、妙に腹が立つんですよね。
荒井:ただの八つ当たりだな。キミが玄人専門で、素人には相手にされない理由がよく分かったよ。大人なら、もっと懐の大きさを見せないと。
西谷:ぜ~っ対、嫌です。
荒井:ホント頭が固いねぇ。そういうやからが、いまだにアルゼンチン共和国杯を「GIのはざまのハンデ重賞でレベルが…」なんて言うんだよ。
西谷:違うんですか?
荒井:いまや、この後のジャパンC、有馬記念はもちろん、翌年以降にもつながる重要な一戦だぞ。近年は道中のペースが極端に落ちることもなく、豊富なスタミナと東京向きの切れ味が求められる質の高いレースになっているからな。
西谷:難しいことはよく分かりませんけど、要は強い馬を本命にすればいいんでしょ。だったら◎ワンアンドオンリーで勝負させてもらいます。
荒井:なんでそうなるんだよ。2年以上勝ち星から遠ざかってる馬だぞ。もう全盛期とは言いがたいし、ハンデも背負うしで、買い材料なんかないだろ。
西谷:まだ終わってはいませんよ。今年のドバイシーマクラシック(5着)でも「おっ」と思わせるシーンはあったじゃないですか。今回と似た舞台の昨年のジャパンCでも勝ち馬からわずか0秒3差の7着。当時のように前々で運んで長くいい脚を使えれば、十分チャンスはあります。
荒井:オレは昨年の有馬記念でも狙ったアルバート◎でいく。
西谷:その有馬記念では11着。ワンアンドオンリーが先着(9着)してますけど…。
荒井:あれはスタートからリズムを欠き、最後まで流れに乗れなかったものだ。3600メートルのステイヤーズSを圧勝した後の中2週で、見えない疲れがあったんだろ。春天(6着)は道中の流れを考えれば脚は使っているし、強さを発揮するのはスタミナ勝負の追い比べ。ステイヤーズSの勝ちっぷりは紛れもなくGI級だったし、見直す余地はあるぞ。
西谷:春天の内容で言うなら、勝負どころでもう少しスムーズに動けていたら、さらに際どかったはずの3着シュヴァルグランを評価すべきじゃないですか。長めの距離のGIIなら、まず崩れは考えにくい。
荒井:オレは相手も東のモンドインテロだ。前走の札幌日経オープンは地力でねじ伏せる強い内容。大事に使われて、いよいよ本格化ムードだ。
西谷:単穴にはヴォルシェーブを指名します。長期休養から復帰後の内容が上々。とくに前走(日本海S=1着)は課題だったスローの切れ味勝負にも対応、加速してからの勢いも十分でした。
荒井:再度のミルコ・デムーロ騎乗も魅力だしな。ヴォルシェーブの評価はオレも同じだ。
西谷:ほかでは一昨年の勝ち馬フェイムゲームが気になります。
荒井:1週前追いの動きは少し重そうだった。オレも印は回すが、感覚的には最後の押さえだな。
西谷:クリールカイザーも近走は大きく負けていません。流れ次第では出番があっていい。
荒井:アイルランドTの勝ちっぷりが良かったハギノハイブリッドはもちろん、先行策が裏目に出たレコンダイト(8着)もまだ見限れないぞ。
西谷:みやこSは京都得意のインカンテーションに注目です。このレースも13年2着、14年1着。休み明けも苦にしないタイプですし、いきなりから好勝負が期待できます。
荒井:オレはラニの巻き返しを期待している。前走のブラジルC(3着)は海外遠征帰りを考えれば、いい叩き台になったはず。相手強化でも注目だ。
【アルゼンチン共和国杯(日曜=6日、東京芝2500メートル)新バージョンアップ作戦】秋のGI連戦が小休止となる今週末は東西で4重賞が組まれている。新VU作戦の明石尚典記者のターゲットは日曜(6日)東京メーン・GIIアルゼンチン共和国杯(芝2500メートル)。長丁場のハンデ戦というイメージに反して波乱度は小さいこのレースで狙うのは、長期休養から復活したヴォルシェーブだ。
GIシリーズの谷間、しかもハンデ重賞とくればひと荒れをもくろむのが穴党のさが。今後の資金稼ぎに、と一発長打を狙いたくなるところだが、現実には過去10年で1~3番人気馬が8勝。堅調な上位人気馬に逆らうのは決して得策とは言えない。近年は勝ち馬からアドマイヤジュピタ、スクリーンヒーロー、トーセンジョーダン、ゴールドアクターといったGI馬を輩出している出世レース。頭にこびりついた荒れ相場の認識を改めて、先々の大舞台をも意識できる逸材の先物買いに走りたい。
ヴォルシェーブは長期休養明けの準オープン2戦を2、1着。一見、5歳にしてようやくオープンへと身を立てたように映るが、瞬発力レベルならGIIでも引けを取らない確信が当欄にはある。
別表に示したのは連対時のラスト3→2ハロン目のレースラップ。9~12ハロンの中距離戦ながらもハロン12秒台はわずかに1度。2ハロン合計で22秒6~23秒3という速いラップを刻みながら、上がり3ハロン順位はすべてナンバー3以内をキープ。特に、ここ2戦は22秒7→22秒6のハイラップをともに最速上がりで駆け抜けている。
脚部不安による1年以上の戦線離脱も何のその。能力減退どころか、むしろ持ち前の瞬発力に磨きがかかってきた印象すら受ける。この馬の旬はまさにこれから。まだ評価の追いついていない今だからこそ、目星を付けておいて損はない1頭だ。
もちろんラスト3→2ハロン目という中途半端な?範囲へフォーカスしたのにも理由がある。過去10年の後半8ハロンラップを5ハロン→2ハロン→1ハロンに分解すると、それぞれの平均は61秒48→23秒09→12秒09。ある程度隊列が定まってからラスト3ハロンを迎えるまではスローが定番。ラスト3ハロンでの瞬発力比べと言いたいところだが、実際にはラスト1ハロンは12秒台から速くても11秒台後半が精一杯。勝負の行方はほぼその前段階、ラスト3→2ハロン目で決まってしまう。合計22秒台から23秒台半ばのラップを刻むこの部分こそがレースの肝。ここでしっかりと脚を伸ばせなければVゴールには届かない。
ここまでのキャリアで披露してきたヴォルシェーブの瞬発力レベルなら、たとえ22秒台を刻もうとも脚が鈍る危険性は皆無。あとは惰性でゴールまで突き進めばいい。